2026.08.28
【総説】 400mハードルのパフォーマンス規定因子に関する統合的ナラティブレビュー—体力・バイオメカニクス的技術・レース戦略の相互作用に着目して—
飯塚 啓伍,杉田 正明
Vol.25,2027
本研究の目的は, ナラティブレビューによって先行研究に基づき400 mハードルのパフォーマンス規定因子を体系的に整理し,競技実践に資する統合的枠組みを提示するとともに,今後の研究課題を明らかにすることであった.
文献検索にはSPORTDiscus,PubMedおよび著者の個人文献データベースを用い,2025年12月までに公表された文献を対象とした.検索語には「400m hurdles」「hurdle biomechanics」「stride pattern」などを用いた.
その結果,400 mハードルのパフォーマンスは,体力,技術,戦略の3要因が相互に関連しながら規定されることが示された.このことから,コーチング現場においては,競技者の技術的特性や採用しているレース戦略との整合性を踏まえたうえで,体力要因を評価・強化する必要がある.また,育成年代や競技歴の比較的浅い段階から,将来的な戦略拡張を見据えた技術習熟を図る重要性が示唆された.さらに,レース戦略については,上位競技者のレースパターン,ストライドパターンおよびモデルタッチダウンタイムを参照しながら,現行の戦略を再検討することが求められる.
一方,先行研究においては,各要因が競技パフォーマンスに及ぼす影響の大きさや改善の優先順位は十分に明らかにされておらず,知見の多くは男子競技者を対象としたものである.今後は,競技レベル,性差および発達段階を考慮しながら,各要因の寄与度と介入の優先順位を明らかにすることが求められる.
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