新規採択論文抄録

世界および日本トップレベル男女棒高跳競技者の記録発達の特徴

村山 凌一,榎 将太,逸見 俊太

Vol.24, 2026

本研究では,棒高跳日本トップレベル競技者および世界トップレベル競技者,棒高跳にお いて顕著に好成績をおさめている国のトップレベル競技者たちの競技記録の発達傾向を探 ることを目的とした.本研究における対象者は,2023年8月31日時点で棒高跳世界歴代30位以内の競技者と 棒高跳日本歴代20位以内の競技者,そして同時点の棒高跳世界歴代100位以内に最も多くの競技者がランクインしていた国とその次点の国の2カ国それぞれにおける棒高跳歴代20 位以内の競技者とした.主な結果は以下の通りである.
1)棒高跳において顕著に好成績をおさめている国は,男女ともアメリカとドイツであった.
2)男子では,10代後半から20代前半にかけてSBおよびPB達成率が向上し,その後一 定期間停滞し,緩やかに低下する傾向であった.
3)女子においては,10代後半から20代後半にかけてSBおよびPB達成率が向上し,その後一定期間停滞し,大きな低下は見られない傾向であった.また,他の種目と比較してSB およびPB達成率が長く向上し,その後も比較的高い年齢までパフォーマンスを維持する発達傾向であった.
4)男女ともに日本は21歳以降で棒高跳強豪国競技者よりもSBが低いが,発達傾向は同様であることが明らかとなった.
以上のことから本研究によって,棒高跳の記録発達の特徴を明らかにすることができ,棒高跳日本トップレベル競技者および世界トップレベル競技者,棒高跳において顕著に好成 績をおさめている国のトップレベル競技者たちの競技記録の発達傾向を提示することができた.